犬が噛む理由としつけ方法|困った噛み癖を解決するポイント

子犬に指を近づけたら「カプッ!」。
ごはんのお皿を片付けようとしたら「う”ぅぅぅ~~」からの「ガブッッ!」。
ひょいっと抱っこしたら反射的に「ガブッ!」。
遊びの最中興奮MAXで訳も分からず「ガブリ!!」。
子犬期の甘噛みは歯が生えそろっておらず、あまり痛くないので「カプしたの?かわいい~!」なんて思いがちですが、そのまま大きくなると力も強くなり、シャレにならない痛さに...。犬の世界では「いや!やめて!」だったり遊びのサインでも、人間社会では「問題行動」と見なされがち。人や他の犬に強く噛みつこうもんなら、大問題に...!
つまり、噛み癖は放置しておくとお互いに損しかない行動なんです。
だからこそ、早い段階で“噛まなくても伝わる方法”を教えてあげることが、犬にとっても飼い主にとっても幸せへの近道です。
犬が噛む理由
- 子犬の甘噛み:歯の生え変わりや遊びの延長。人間で言う“赤ちゃんが何でも口に入れる”と同じ。
- 遊びの興奮MAX:スイッチが入りすぎて制御不能。「楽しすぎてもうわけわかりません!!」という状態。
- 怖い・嫌だサイン:爪切り、耳掃除、触られたくないところで「やめて」の意思表示。
- 突然の抱っこでビックリ: 特に小型犬は簡単にひょいと抱っこできてしまうので、死角からの突然の抱っこに驚き本能的に噛んでしまう。
- 大事なものを守る時:ごはんやオモチャを取られると思って「それはオイラのだ!」と防衛するとき。
- 体調不良:関節や歯の痛みで触られるのがイヤ、というケース。
子犬なら「色んなものを口で確認したい」、成犬なら「それはやめてくれい!」のメッセージかもしれない。噛むは犬にとってコミュニケーションのひとつ。
叱りつけて押さえ込むより、状況を整えて、代わりの行動を教えるほうが長い目で見て安全・確実です!
ガブっ!といかれて、あまりの痛みにイラっとして大声で叱りたくなる気持ちもわかります!ですが、まずは冷静に「なぜ噛んできたのか」理由を考えてみましょう!
子犬期と成犬で違う噛み癖
子犬の噛みは「遊びとムズムズのはけ口」、成犬の噛みは「気持ちを伝えるサイン」。同じ「ガブッ」でも理由はまったく違います。
子犬には噛んでいい物を教え、成犬には気持ちを尊重しながら代わりの行動を育てることが解決のヒントです。
子犬期の噛み癖

子犬を迎えたばかりの頃、手や服にガブッと来て「この子、凶暴なのでは…?」と心配になる飼い主さんは多いもの。でも実際は、子犬の噛みにはちゃんと理由があります。歯の生え変わりでムズムズするし、遊びも探索も口を使う。人間の赤ちゃんがなんでも口に入れて確かめるのと似ています。
対処のコツ
- 噛んだ瞬間に遊び終了:「あ、カプっときた」→無言でスッと立ち上がる。
- 噛んでOKなオモチャに即チェンジ:ロープやラバー、日替わりで新鮮さをプラス!
- 短時間で小分けに遊ぶ:興奮MAX前にクールダウン。「待て」や「おすわり」の基本的なしつけが出来ていたら尚Good!
- 「歯が当たると楽しいが終わる」を教えるのがゴール!
この時期に大切なのは、「噛んでほしくない物」と「噛んでいい物」の区別を教えること。手に歯が当たったら、遊びをすっと切り上げて「今のはダメだよ」と伝えます。そしてすぐにロープやラバーのおもちゃを差し出す。「噛んでいいのはこっち!」を繰り返すと、子犬はちゃんと学んでいきます。
さらに遊びは短時間で小分けに。興奮MAXになる前に「休憩!」を挟むと、カプッが減っていきます。つまり子犬の噛み癖は「経験不足と歯のムズムズ」なので、選択肢を与えて正しい方向に導くのがコツなのです。
成犬の噛み癖

一方、成犬が噛むときは背景がもっと複雑です。遊び半分ではなく、恐怖や不安、「これ以上触らないで」という強いサインだったりします。ごはんやおもちゃを取られると思って守るケースもあれば、関節や歯の痛みなど、触られるのがつらくて噛むこともあります。
対処のコツ
- まず原因を記録する:「どんな時に噛むのか」その時の状況をメモ。
- 距離と環境を管理:ゲートで分ける、拾い食い防止、道具で制御
- 代替行動を教える:「ちょうだい」で交換、「ベッド」で退避
- “人が近づく=いいことが増える”学習:ごはん中にチーズを落とす、おもちゃ中にご褒美追加
- 痛みの疑いは動物病院へ:体を触られると怒る子はまず検査
対処にはまず「なぜ噛んだのか」を探ることが大切です。どんな場面で、誰に、何をしている時かをメモに残すと原因が見えてきます。そして環境を工夫して失敗を減らします。
たとえば来客がある時はゲートで距離を取り、拾い食いが起きやすい道は避ける。物理的に「噛むきっかけを減らす」だけでも行動は落ち着きます。
そのうえで「ちょうだい」と言われたら交換で物を渡す、「ベッド」の合図で指定の場所に行くなど、代わりの行動を教えて強化していきます。ごはん中に少しだけおやつを追加する「おすそ分け作戦」も有効で、「人が近づくといいことが増える」と犬が学べば、防衛的に噛む必要はなくなるのです。
噛まれた時にやってはいけない対応
大声で怒鳴る
「コラッ!」と怒鳴ってその場では止まったように見えても、犬にとっては「人が近づくと怖いことをされる」と学習してしまいます。結果的に、次はもっと強く噛んで先に相手を退けようとすることもあり逆効果です。
力で押さえ込む
口をつかんだり、ひっくり返して押さえつけるなどの方法は、一時的に従ったように見えても、犬は「逃げられない状況で怖い思いをした」と記憶します。恐怖や不信感を増幅させ、関係性を壊すリスクが高いです。
罰として物を取り上げる
食べ物やおもちゃを力づくで取り上げると、「取られる前に守らなきゃ」と逆に防衛本能を強めてしまいます。むしろ「人が近づく=良いものが増える」と学習させることが重要です。
噛んだ直後の対応

1. まずは冷静に!距離を取る
噛まれた痛みでイラッとするのは自然なこと。でも怒鳴ったり押さえつけたりすると、犬は「人間=怖い存在」と学習してしまいます。
深呼吸→犬から静かに距離を取る。これが第一歩です。
2. 状況をストップする
噛んだ場面が「遊び中」「ごはん中」「体のケア中」など、どんなケースであっても、その瞬間の状況を中断することが大切です。
- 遊び中 → 遊びをやめる
- ごはん中 → 一度食器を下げるのではなく、距離を取って落ち着く
- ケア中(爪切りなど) → その日は中止し、次回は慣らしステップからやり直す
ポイントは「無言で淡々と」状況をリセットすること。これで犬は「噛むといいことがなくなる」と理解していきます。
3. 安全確保
家族や他のペットを巻き込む危険がある場合は、ケージやサークルでクールダウン。
ただし「罰」として強く押し込むのではなく、淡々と安全のために場所を変えるイメージで。
4. 傷の手当てと記録
噛まれた傷は意外と深いこともあります。流水でしっかり洗い、消毒。深い出血や腫れがある場合は早めに病院へ。
そのうえで「どんな状況で噛んだのか」をメモしておくと、後の改善に役立ちます。
噛まれた瞬間は、痛みと驚きでイラっとするのが普通。
だからこそ「流れを決めておく」ことが大事です。
👉 距離を取る → 遊び終了を伝える → 安全確保 → 傷の手当て → 状況を記録
これを繰り返せば、飼い主も犬も冷静に行動でき、次のステップ(原因に応じたしつけ)に進めます。
専門家に頼るべきケース
もちろん、家庭の工夫だけでは難しいケースもあります。流血するほど強く噛む、突然性が強くて予測できない、体の一部を触ると必ず噛む。こうしたサインがあれば、しつけではなく医療や専門的な行動カウンセリングが必要です。
- 皮膚が破けるレベルの咬傷/連続で数回噛む
- 警告なしに噛む、突然性が強い
- 特定の部位に触れると必ず噛む(痛みの可能性)
- 飼い主が犬に対して「怖い・管理できない」と感じる
これは家庭でのしつけ範囲を超えているサイン。迷わず獣医やトレーナーに相談してください。
まとめ
犬が噛むのは、性格が悪いからじゃなくて「伝えたいことがあるから」。
そのメッセージを「悪い子!」と叱らず、理由を読み取って別の行動を教えるのがしつけの本筋です。
愛犬の「ガブッ」をただの悪い行動と見るか、それとも「伝えたいサイン」として読み解くかで、飼い主と犬の関係は大きく変わります。
今日からメモとごほうびをポケットに、我々の手でやつらのモンスター化を阻止していきましょう!